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実行委員長挨拶
実行委員長
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高垣 忠一郎
立命館大学

こんにちは。

第3回「社会的ひきこもり支援者全国実践交流会」が
2008年2月16・17日の日程で、
京都・立命館大学衣笠キャンパスにて開催されます。

私は今回の集会の実行委員長をお引き受けすることになりました
立命館大学の高垣忠一郎です。

この集会へたくさんの方にご参加いただきたく、
一言ご挨拶申し上げます。

この集会に開催にあたっては、
立命館大学大学院応用人間科学研究科と
立命館大学人間科学研究所の
共催をいただくことになりました。

応用人間科学研究科は教育・福祉・臨床心理・看護などの領域で
対人援助の仕事に従事する専門家を育てる大学院です。
また立命館大学の教学の理念は、「平和と民主主義」です。
その立命館で育てる対人援助の専門家ですから、
日常の仕事のなかに「平和と民主主義」を貫くことのできる専門家を
育てなければならないと考えております。

とりわけ、地球の現状を見るとき、
「平和」の実現ほど地球人の焦眉の課題となっていることはないと思います。
「戦争」が武力で脅しをかけて相手国を支配することであるならば、
その対極にある「平和」は少なくとも
「脅し」によって人間が支配されない状態であると考えます。
いま、日本の空からは爆弾は降ってきません、
地面の下に地雷は埋まっておりません。
その意味では日本は平和であります。
その事実のありがたみを些かも軽視することはできません。
「平和憲法」がそれを守り続けてくれたのだと思います。

しかし、他方で日本の国の現状をみるとき、
教育や福祉、医療の世界にまで「脅し」が蔓延しております。
そういう意味では日本は平和ではありません。
「構造改革」「規制緩和」の政治は、
「弱者」を救うセーフティネットの網の目をゆるめました。
そのゆるんだ網の目から、貧困や病や困窮の苦しみという爆弾が
人々の肩に降りかかってきております。
「自立自助」「自己責任」の掛け声は、
救いを必要とする人々にとっては
「お前たちは甘えている」「他人に迷惑をかけるダメな人間だ」という
「脅し」の掛け声に聞こえます。
不登校、ひきこもり、ニートと呼ばれる子どもや若者たちが
いかにこうした「脅し」によって自己否定の心に追い詰められていることでしょう。
「自己否定の心」ほど、「自己治癒力」や「自己回復力」といった生命の働きを
弱めるものはないのです。

「脅し」によって駆りたてられる心は
「焦り」ます。「焦り」という字は「こげる」とも読みます。
焦る心はイラクの戦場のように焦げているのです。
心が平和ではないのです。
その心には「焦り」「不安」「恐怖」といった
「地雷」が埋め込まれています。
私はそうした人々への対人援助の仕事は
、 そのなかに日本国憲法の精神をつらぬくことことが
いかに大切であるかという思いを新たにするのです。

日本国憲法の究極の目的は
第13条「すべて国民は個人として尊重される・・・」に唱われています。
その目的を実現するための条件として、
武力・戦争を放棄し、平和を堅持することが何より大切だということでしょう。
そのことはただ法律の条文にうたわれているだけでは不十分です。

わたしたちの対人援助の仕事のなかに、
わたしたちの心のなかに貫かれなければならないのだと思います。
今回の集会が「ニート」や「ひきこもり」といわれる
若者たちをめぐる問題の本質を明らかにし、
そうした問題を縁に集まった人々が
少しでも元気になって頂けるような集会にしたいものだと
念願しております。

みなさまのご参加をお待ちしております。


  
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